自社でイベント設営するメリットとデメリットとは?設営ポイントや注意点も解説

自社でイベントを開催するとき、イベント会場の設営を外注するケースと自社設営するケースがあります。

 

また、自社で会場設営をする場合、そこから得られるメリットは多いです。一方、自社設営にはいくつかのデメリットや課題も存在します。

 

そこで本記事では、自社でイベント設営をするメリットやデメリット、自社設営のポイントなどを解説します。


▶記事監修者:足尾暖氏
株式会社ZERO Animation 代表取締役 
イベントプロデューサー

ゲームプロダクション、大手デジタル広告代理店での経験を経て2023年、株式会社ZERO Animationを起業。
ライブ、法人イベント、展示会など幅広いイベントを手掛け、年間30件以上の企画、集客、運営、分析を担当している。



自社でイベント会場を設営するメリット

自社でイベント会場を設営するメリットは多岐にわたり、主なメリットとしては、以下が挙げられます。

 

●     ノウハウが蓄積して社内スキルが向上する

●     コミュニケーションの効率が良くなる

●     コスト管理がしやすくなる

●     ブランドイメージを反映しやすくなる

●     環境への配慮をアピールできる

 

これらのメリットを理解しておくことで、自社にてイベント会場を設営する際の意思決定やリソース配分などに役立つでしょう。

 

また、コスト面や自由度、ノウハウなど、イベント運営の質を高めることにも繋がります。
 


ノウハウが蓄積して社内スキルが向上する

イベント設営を繰り返し行うことで、スタッフは徐々に経験を積み重ねていきます。最初は戸惑うことも多いかもしれませんが、回を重ねるごとに効率的な作業方法や注意すべきポイントを学んでいくでしょう。

 

会場のレイアウト設計や機材の配置、来場者の動線管理など、実践を通じて得られる知識はとても貴重です。これらのノウハウは、マニュアル化して社内で共有することで、より多くのスタッフのスキルアップにつながります。

 

また、自社で設営を行うことで、外部業者への依存度を減らすことができます。これは長期的に見ると、大きなコスト削減につながる可能性があります。外部業者に頼らずに自社で対応できる範囲が広がれば、イベント予算の効率的な活用が可能です。

 

さらに、トライ&エラーを通じて、自社に最適な設営方法を見つけられることも大きなメリットです。各企業には独自の文化や価値観があり、それに合わせたイベント設営が求められます。外部業者に頼るだけでは得られない、自社ならではの工夫や改善点を見出すことができるでしょう。

 


コミュニケーションの効率が良くなる

外部業者との打ち合わせ時間が不要になるため、その分の時間を他の重要な業務に充てることができます。社内のメンバーだけで進めるため、意思決定のスピードが格段に上がり、プロジェクト全体の進行が加速します。

 

また、社内のチームワークが強化されるという点も見逃せません。イベント設営という共通の目標に向かって協力することで、部署間の壁が低くなり、普段はあまり接点のない社員同士のコミュニケーションも活発になります。これにより、プロジェクトの一体感が高まり、チーム全体のモチベーションも向上します。

 

さらに、突発的な変更や予期せぬ事態が発生した場合にも、迅速かつ柔軟に対応できるのが自社設営の強みです。外部業者を介さずに直接コミュニケーションを取れるため、状況の変化にも即座に対応できます。これは、イベントの成功率を高める重要なポイントです。
 


コスト管理がしやすくなる

自社で資材や機材を管理することで、無駄なコストを削減できます。外部業者に依頼すると、必要以上の資材や機材が用意されることがありますが、自社管理であれば必要最小限の準備で済みます。

 

また、複数のイベントで同じ資材を再利用することも可能になり、長期的なコスト削減にもつながるでしょう。

 

外部業者に依頼する際の中間マージンを省けることも、大きなコスト削減要因となります。業者を介さずに直接取引することで、コストの透明性が高まり、予算の有効活用が可能です。

 

例えば、照明や音響機器のレンタルを直接行うことで、業者を通す場合よりも安価に調達できる可能性があります。

 

さらに、必要な資材を自社で調達することで、コストの詳細な把握と管理が可能になります。各項目の費用を細かく分析すれば、次回のイベントでのコスト削減につなげることができます。
 


ブランドイメージを反映しやすくなる

自社でイベント設営を行うことで、ブランドイメージに完全に合致した空間演出が実現できます。企業のカラーやロゴ、キャッチフレーズなどを、会場のデザインや装飾に細部まで反映させることができます。

 

また、社内のデザインチームと連携することで、独自性の高いイベント設営が実現可能です。外部業者では難しい、企業文化や価値観を深く理解した上でのデザイン提案が可能になります。例えば、企業の歴史や成長ストーリーを会場レイアウトに組み込むなど、創造的なアプローチが取れます。

 

さらに、ブランドのメッセージを直接的かつ効果的に反映できることで、参加者に強い印象を与えられます。企業の強みや特徴を、視覚的、聴覚的、さらには体験的に表現することで、参加者の記憶に残るイベントを創出できるでしょう。
 


環境への配慮をアピールできる

リサイクル可能な資材や再利用可能な装飾品を選択したり、エネルギー効率の高い照明機器を使用したりなど、環境に優しい素材や方法を積極的に採用することができます。

 

これらは、企業の環境意識の高さを直接的に示すことができ、参加者に強いメッセージを伝えることができるでしょう。

 

また、イベントの運営面でも環境への配慮を示すことができます。紙の配布物を最小限に抑えたり、デジタル化を推進したりは、その一例です。

 

このような取り組みは、単にイベントの環境負荷を減らすだけでなく、企業のブランドイメージの向上にもつながります。環境問題に積極的に取り組む企業として認知されることで、消費者や取引先からの信頼を得ることができます。

 



自社でイベント会場を設営するデメリット

自社でイベント会場を設営することには多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。これらのデメリットを理解し、適切に対処することが、イベント運営の成功につながります。

 

●     専門知識の不足によるリスクがある

●     通常業務に影響が出る

●     コスト管理が難しい

●     イベントの質が低下する恐れがある

●     社員の負担が増えストレスになる

 

これらのデメリットを踏まえ、イベントの規模や目的、社内のリソースや専門性を総合的に評価し、場合によっては外部業者との協力や部分的な委託を検討することも重要です。

 

また、自社での設営を選択する場合でも、これらのリスクを最小限に抑えるための対策を講じることが不可欠となるでしょう。
 


専門知識の不足によるリスクがある

自社でイベント設営を行う際に直面する最大の課題の一つが、専門知識の不足です。イベント設営には、会場レイアウト、照明、音響、安全管理など、多岐にわたる専門的なスキルが必要となります。これらの知識が社内に十分にない場合、様々なリスクが生じる可能性があります。

 

まず、設営の質の低下が懸念されます。プロフェッショナルな外部業者と比較すると、経験不足から来る細かな配慮の欠如や、最新のトレンドや技術の取り入れ不足により、参加者の期待に応えられないイベントになってしまう可能性があります。これは直接的に参加者の満足度に影響を与え、ひいては企業のブランドイメージにも悪影響を及ぼす恐れがあります。

 

さらに重要なのが、安全性の問題です。不適切な設営は、単に見栄えが悪いだけでなく、重大な事故につながる可能性があります。例えば、電気配線の誤った取り扱いは火災のリスクを高めますし、不安定な舞台や装飾品は転倒や落下の危険性があります。こうした事故は参加者の安全を脅かすだけでなく、企業の責任問題にも発展しかねません。

 

また、専門的な機材や技術が必要な場合、外部業者を利用するよりもコストがかかることがあります。高度な音響設備や大型スクリーンなどを自社で購入または借りる場合、外部業者に依頼するよりも高額になる可能性があります。
 


通常業務に影響が出る

イベントの規模にもよりますが、準備期間は数週間から数ヶ月に及ぶことも珍しくありません。この間、設営に関わる社員は通常業務と並行してイベント準備を進めることになります。結果として、業務時間の配分が難しくなり、日々の業務の進捗が遅れる可能性があります。

 

また、イベント直前になると、設営作業に集中するために他の重要な業務が後回しになることがあります。例えば、顧客対応や締め切りの迫った案件などが滞ってしまう恐れがあります。これは、企業全体の業務効率や顧客満足度に悪影響を及ぼすかもしれません。

 

さらに、イベント準備期間が長引くと、社員のモチベーションが低下する可能性もあります。通常業務に加えてイベント設営の仕事が増えることで、過度の負担やストレスを感じる社員が出てくることも否定できません。これは、長期的には生産性の低下や優秀な人材の流出につながる恐れがあります。
 


コスト管理が難しい

外部業者に委託する場合と比べて、自社によるイベント設営では「予想外の費用」が発生しやすく、予算オーバーのリスクが高くなります。

 

資材や機材の調達に慣れていない場合、外部業者よりも割高になることがあります。音響機器や照明設備などの専門機材を一時的に借りる場合、個別のレンタル料金が高額になる可能性もあるでしょう。

 

また、設営にかかる隠れたコストが見落とされがちです。特に人件費と時間のコストは過小評価されやすい傾向にあります。

 

さらに、通常業務を持つ社員がイベント設営に時間を割くことで、本来の業務に支障が出たり、残業代が増加したりする可能性があるでしょう。これらの間接的なコストは、当初の予算には含まれていないことが多く、結果として総コストが膨らむ原因となります。
 


イベントの質が低下する恐れがある

プロの設営業者と比較すると、自社設営では演出やデザインの質が劣る可能性があります。

 

これには、専門的な知識や経験の不足が挙げられます。プロの設営業者は、数多くのイベントを手がけてきた経験から、効果的な空間演出や最適な機材の選定などのノウハウを持っています。一方、自社スタッフは通常業務と並行してイベント設営を行うため、専門的なスキルを磨く時間が限られます。

 

また、最新のトレンドや技術を取り入れることが難しいという点も見逃せません。イベント業界は常に進化しており、新しい演出技術や機材が次々と登場しています。プロの業者はこれらの最新情報にアクセスしやすい立場にありますが、自社スタッフがこれらの情報をキャッチアップするのは容易ではありません。

 

近年、参加者はSNSなどを通じて様々なイベントの情報に触れており、質の高いイベントへの期待値が上がっています。自社設営のイベントがこの期待に応えられない場合、参加者の満足度が低下し、ひいては企業のブランドイメージを損なう可能性があるでしょう。

 


社員の負担が増えストレスになる

設営業務は多岐にわたり、時間と労力を要します。会場のレイアウト設計、機材の調達と設置、装飾、安全管理など、専門的な知識や技術が必要な作業が多く含まれます。これらの業務を通常の仕事と並行して行うことは、社員にとって大きな負担となるでしょう。

 

特に、イベント直前になると作業量が急増し、長時間労働や休日出勤を余儀なくされることもあり、過度なストレスを引き起こすかもしれません。

 

このような状況が続くと、社員のワークライフバランスが崩れ、心身の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。過度な疲労やストレスは、集中力の低下や判断ミスを引き起こし、イベントの質にも影響を与えかねません。

 

さらに、長期的には社員のモチベーション低下や燃え尽き症候群につながる恐れもあります。
 



イベント会場設営のポイント

イベントを成功させるポイントは、綿密な準備と適切な会場設営にあります。自社でイベントを設営する際には、以下のポイントに注意を払うことが重要です。

 

●     会場選定の際に下見をする

●     効率的なレイアウト設計をする

●     照明と音響を最適化する

●     イベントの安全対策と緊急時対応を決めておく

●     参加者の快適性を考慮する

 

これらのポイントを意識しながら、イベントの準備段階から当日の運営まで、社内のチームワークを活かし、柔軟に対応できる体制を整えましょう。

 

予期せぬ事態が発生しても、迅速に対応できるよう、事前にシミュレーションを行っておくと安心です。
 


会場選定の際に下見をする

イベント設営において、会場選定は重要なポイントです。インターネットやパンフレットだけでは得られない情報があるため、実際に現地を訪れて確認することが不可欠です。下見を行うことで、イベントの雰囲気や参加者の動線を具体的にイメージでき、より効果的な設営計画を立てることができます。

 

また、下見をする際にはアクセスのしやすさも確認しましょう。最寄り駅からの所要時間や、駐車場の有無、公共交通機関の利便性などをチェックします。参加者が迷わずに会場にたどり着けるか、案内表示は十分かなども確認しておくと良いでしょう。

 

次に、会場内の動線を確認します。受付から会場内、休憩スペース、トイレなどの配置を把握し、参加者がスムーズに移動できるかを確認します。特に大規模なイベントの場合、混雑が予想される場所や、避難経路の確保も重要なポイントです。

 

設備の配置も重要なチェックポイントです。プロジェクターやスクリーン、音響設備の位置、電源の配置などを確認し、必要に応じて追加の機材が必要かどうかを判断します。また、Wi-Fi環境や空調設備の状況も確認しておくと良いでしょう。

 

会場の間取りや備品の確認も忘れずに行います。テーブルや椅子の数、ステージの大きさ、控室の有無など、イベントの内容に合わせて必要な設備が揃っているかをチェックしてください。不足している場合は、追加で手配するか、別の会場を検討する必要があります。
 


効率的なレイアウト設計をする

イベントの成功には、参加者が快適に過ごせる空間づくりが不可欠です。

 

まずは、机や椅子の配置を工夫し、参加者の視線の確保を行うことが重要になります。イベントの内容に合わせて最適な配置を選びましょう。

 

プロジェクターやスクリーンの位置調整も重要なポイントです。どの席からも見やすい配置にすることで、情報の伝達効率が高まります。スクリーンの大きさと会場の広さのバランスを考慮し、必要に応じて複数のスクリーンを設置することも検討しましょう。また、照明の位置にも注意を払い、スクリーンの視認性を確保することが大切です。

 

配布資料や備品の配置も、参加者の利便性を高める重要なポイントです。資料は事前に各席に配布しておくか、受付で効率的に配布できるよう準備しましょう。また、ペンや付箋などの文具類も、必要に応じて用意しておくと良いでしょう。
 


照明と音響を最適化する

適切な照明と音響の設定は、イベントの雰囲気や印象を決定づける重要な役割を果たします。

 

照明に関しては、会場の雰囲気を作り出す上で極めて重要です。適切な明るさや色を選ぶことで、イベントの目的に合った空間を演出できます。

 

●     昼白色の照明:活動的な印象を与え、セミナーや展示会に適している

●     電球色の照明:リラックス効果があり、交流会や懇親会などのイベントに適している

●     その他色照明:趣旨やテーマによりイベントのイメージをより明確に出来る。

 

音響設備に関しては、全ての参加者にクリアに聞こえるように調整することが重要です。マイクやスピーカーの位置を適切に設定し、音量や音質を調整しましょう。大規模な会場では、複数のスピーカーを設置し、音の遅延を考慮して調整する必要があります。

 

また、照明や音響の調整は、事前にリハーサルを行うことが重要です。本番と同じ条件下でテストを行い、問題点を洗い出し、必要な調整を行います。特に、照明の切り替えや音響効果のタイミングなどは、リハーサルで十分に確認してきましょう。
 


イベントの安全対策と緊急時対応を決めておく

イベント設営において、参加者の安全を確保することは最優先事項です。事前に適切な安全対策を講じ、緊急時の対応を決めておくことで、万が一の事態にも迅速かつ効果的に対処できます。

 

まず、緊急時の避難経路を確認し、参加者に周知することが重要です。会場の見取り図を作成し、非常口や避難経路を明確にマークしましょう。これらの情報を参加者に伝えるため、会場内に分かりやすいサインを設置します。また、イベント開始時に簡単な説明を行うことも効果的です。

 

次に、トラブル発生時の対応マニュアルを作成し、スタッフ全員で共有することが不可欠です。マニュアルには、火災、地震、急病人の発生など、想定されるさまざまな緊急事態への対応手順を記載します。特に、判断や指示を行う責任者を明確にし、連絡体制を確立しておくことが重要です。

 

安全対策として、会場内の危険箇所を事前にチェックし、必要な対策を講じることも忘れてはいけません。例えば、つまずきやすい段差や滑りやすい床面、落下の危険がある装飾品などをチェックし、適切な対策を施します。また、電気系統の安全確認や、消火器の設置場所の確認も重要です。
 


参加者の快適性を考慮する

室温は24℃前後を目安に設定し、こまめに調整することがポイントです。季節や時間帯によって温度が変化することを考慮し、柔軟に対応できるよう準備しておきましょう。

 

また、休憩スペースや飲食エリアの設置も参加者の快適性向上に欠かせません。長時間のイベントでは、参加者がリフレッシュできる場所が必要です。休憩スペースには、座席やテーブルを十分に用意し、Wi-Fiや充電スポットなどの設備も整えると良いでしょう。

 

飲食エリアについては、会場周辺に食事をする場所がない場合、キッチンカーを利用して簡単なフードコートを設置するのも一案です。

 

参加者の動線を考慮し、混雑を避けるための工夫も重要です。受付エリアは特に混雑しやすいため、複数の受付レーンを設けたり、事前登録システムを導入したりすることで、待ち時間を短縮できます。また、会場内の通路幅を十分に確保し、人の流れがスムーズになるようレイアウトを工夫しましょう。
 



自社でイベント会場を設営するときの注意点

自社でイベント会場を設営する際には、多くの注意点があります。適切な準備と管理を行うことで、成功したイベントを実現できます。

 

以下は、自社でイベント設営をするときの主な注意点です。

 

●     スケジュール管理を徹底する

●     設営における安全対策を実施する

●     資材と機材の事前確認をしておく

●     スタッフの役割分担を明確にしておく

 

自社でのイベント設営は確かに労力を要しますが、これらの注意点に留意することで、効果的かつ印象的なイベントを実現できます。

 

適切な準備と管理を通じて、参加者に価値ある体験を提供することにより、自社のブランド価値向上にもつなげることができるでしょう。
 


スケジュール管理を徹底する

まず、イベント全体の詳細なタイムテーブルを作成しましょう。これには、企画立案、会場選定、資材調達、宣伝活動、設営作業、当日の進行、撤収作業など、すべてのステップを含める必要があります。各タスクの開始時間と終了時間を明確にし、担当者を割り当てることで、進捗状況を容易に把握できます。

 

特に重要なのは、予期せぬ事態に備えて余裕を持ったスケジュールを設定することです。例えば、設営作業には予定の1.5倍の時間を確保するなど、柔軟性を持たせることが大切です。また、各プログラム間に10〜15分程度の緩衝時間を設けることで、突発的な遅延にも対応できます。

 

スケジュール通りに進行するためには、各担当者の役割と責任を明確にすることが不可欠です。タスクごとに責任者を決め、進捗報告の頻度や方法を事前に取り決めておきましょう。これにより、問題が発生した際の迅速な対応が可能になります。
 


設営における安全対策を実施する

イベント設営において、安全対策は最優先事項です。自社でイベント設営を行う際には、以下の点に注意して安全対策を実施しましょう。

 

●     リスクアセスメントの実施

●     設営作業中の事故防止

●     緊急時の対応計画

 

まず、設営中およびイベント中の安全を確保するため、リスクアセスメントを行うことが不可欠です。会場の下見を実施し、潜在的な危険箇所を特定します。段差や滑りやすい床面、落下の危険がある装飾品などをチェックし、適切な対策を講じます。また、電気系統の安全確認や、重量物の適切な固定方法なども確認しましょう。

 

また、設営作業中の事故を防ぐため、適切な保護具を用意し、スタッフに着用を徹底させることも重要です。ヘルメット、安全靴、手袋などの基本的な保護具に加え、高所作業を行う場合は安全帯の使用も必要です。これらの保護具の正しい使用方法について、事前にスタッフに指導を行いましょう。

 

さらに、緊急時の対応計画を策定することも忘れてはいけません。火災、地震、急病人の発生など、想定されるさまざまな緊急事態への対応手順を明確にし、スタッフ全員で共有します。特に、避難経路の確保と周知、消火器の設置場所の確認、AEDの設置と使用方法の周知は重要です。
 


資材と機材の事前確認をしておく

自社でイベント設営を行う際、資材と機材の事前確認は非常に重要です。適切な準備と確認を行うことで、イベント当日のトラブルを最小限に抑え、スムーズな運営を実現できます。

 

まず、必要な資材や機材をリスト化することから始めましょう。イベントの規模や内容に応じて、テーブル、椅子、看板、音響機器、照明機器、プロジェクター、スクリーン、パソコン、延長コード、文具類など、必要なアイテムを洗い出します。このリストは、イベントの企画段階で作成し、準備が進むにつれて随時更新していくことが大切です。

 

次に、リストに基づいて事前にすべてのアイテムを確認します。数量が足りているか、サイズや仕様は適切か、破損や汚れはないかなど、細かくチェックしていきます。特に、レンタル品の場合は、受け取り時に必ず確認を行い、問題があれば速やかに業者に連絡しましょう。

 

機材の動作確認は、特に重要です。プロジェクターやマイク、スピーカーなどの電子機器は、事前に実際に使用して、故障や不具合がないかをチェックします。パソコンとプロジェクターの接続確認、音響機器の音量や音質の調整、照明機器の点灯確認など、細かな部分まで確認することが大切です。

 

また、資材や機材の不足に備えて、可能な限り予備を用意しておくことをおすすめします。特に、電池、延長コード、テープ類、文具類などの消耗品は多めに準備しておくと安心です。重要な機材(例:プロジェクター、マイク)については、可能であれば予備を用意しておくことで、トラブル時にも迅速に対応できます。


スタッフの役割分担を明確にしておく

イベントの規模や内容に応じて、企画責任者、会場設営担当、受付担当、案内係、司会者、タイムキーパー、音響・照明担当、緊急時対応担当など、必要な役割を洗い出します。その後、各役割に適した人材を配置し、その責任範囲と具体的な業務内容を明確にしましょう。

 

役割が決まったら、各スタッフに対して適切な訓練を行うことが重要です。特に、初めてイベント運営に携わるスタッフには、基本的なマナーや対応方法、機器の操作方法などを丁寧に指導します。また、ベテランスタッフと新人スタッフをペアにするなど、経験の浅いスタッフをサポートする体制を整えることも効果的です。

 

さらに、イベント当日の流れをシミュレーションし、スタッフ全員で共有することも重要です。タイムスケジュールに沿って、各スタッフの動きや連携ポイントを確認しましょう。特に、開場時や休憩時間、閉会時など、参加者の動きが集中する時間帯の対応を重点的に確認しておくと良いです。

 

また、トラブル発生時の対応マニュアルを作成し、スタッフに周知徹底することも忘れてはいけません。急病人の発生、機材トラブル、天候の急変など、想定されるさまざまな事態に対する対応手順を明確にし、文書化しておきます。このマニュアルは、全スタッフが常に携帯できるようにし、定期的に内容の確認と更新を行いましょう。


スタッフ同士のコミュニケーションを強化する

イベントの準備段階から、関係者間での情報共有を徹底することが重要です。プロジェクト管理ツールやクラウドサービスを活用し、タスクの進捗状況や重要な情報をリアルタイムで共有しましょう。

 

また、定期的なミーティングを開催し、進捗状況や問題点を確認することも大切です。オンラインミーティングツールを活用すれば、場所や時間の制約を受けずに効率的に会議を行えます。

 

イベント当日は、無線機や携帯電話を使って、迅速な連絡体制を確立することが重要です。各スタッフに連絡用のデバイスを配布し、緊急時や状況変化に即座に対応できるようにしましょう。LINEなどのメッセージングアプリを活用すれば、グループ全体への一斉連絡や個別のやり取りも容易になります。

 

イベント終了後には、反省会や振り返りセッションを開催し、良かった点や改善点を共有することも大切です。このプロセスを通じて、次回のイベントに向けての改善策を全員で考え、チームの成長につなげることができます。



今後はより持続可能なイベント設営が求められる

イベント業界において、サステナビリティ(持続可能性)への取り組みは、避けて通れない重要課題となっています。環境への配慮と経済的な成功を両立させるサステナブルなイベント設営は、企業の社会的責任(CSR)を果たすだけでなく、参加者の満足度向上にもつながる重要なポイントです。

 

例えば、既存の施設を活用することで、新たな資材の使用を抑え、廃材を減少させることができます。コンベンションセンターや多目的ホールなど、イベント用に設計された施設を利用すれば、追加の設備や装飾を最小限に抑えられます。

 

また、自然環境を活かした会場選びは、参加者に持続可能性の重要性を直接的に伝える絶好の機会となります。緑豊かな公園や自然保護区域での野外イベントは、参加者に環境保護の大切さを体感してもらえるでしょう。

 

イベントの装飾においても、再利用可能な素材を使用することで無駄を削減できます。モジュール式の展示ブースや再利用可能なバナースタンドを採用することで、イベントごとに新しい装飾を製作する必要がなくなります。また、デジタルサイネージを活用することで、紙の使用量を大幅に削減できるだけでなく、情報の更新も容易になります。

 

さらに、廃材を利用した装飾やリサイクル可能な部材を取り入れることで、資源の有効活用を図ることができます。古い木材をリメイクして看板やベンチを作ったり、使用済みのペットボトルを再利用して装飾品を作ったりすることで、独創的かつ環境に優しい空間を演出できます。

 

このような持続可能なイベント設営は、単なるトレンドではなく、今後のイベント業界における標準となっていくでしょう。